ヨハン・ゼバスティアン・バッハ

(小林偉:放送作家・大学講師)

クラシックの名曲から

 筆者が勝手に“パブロフのM”と命名している、曲名を聞いてもよく知らないのに、その曲を聴くと特定の情景が思い浮かぶ・・・そんな曲をまたお届け致します。

 今回は、クラシックの名曲から。先に音源をお聴きになってから、文章を読み進めていただくと、より楽しんでいただけると思いますよ。

 早速まいりましょう。

 まずはヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲の『トッカータとフーガ ニ短調』という曲なのですが、皆さんご存知でしょうか? こちらです。

●ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲『トッカータとフーガ ニ短調』

 何かショックな出来事があったときに頭の中でこの曲が流れるなんて方もいらっしゃるのでは? また、嘉門達夫の『鼻から牛乳』が浮かんだなんて方も・・・。

 この曲は、18世紀のドイツが生んだ、“音楽の父”とも呼ばれる、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲したオルガン曲。まだ21歳だった1706年頃に作られたと言われるバッハにとって最初期の作品らしいです(バッハによる楽譜が残されていないため、別人による作品であるという説もあるとか)。

 曲名にあるトッカータには「触れる」と言う意味があって、鍵盤を押すというより触れるような非常に速い技巧的な曲のこと。オルガンやチェンバロのコンディションを確認するための「試し弾き」が語源らしいですね。

 もう一つのフーガとは一つのテーマがそのまま、あるいは変調されたりして、後から追いかけてくるように演奏され、結果的に和声が出来るような曲のことだとか。日本では遁走曲(とんそうきょく)と言うそうですね。なので、筆者の解釈で言うと「トッカータとフーガ」とは、追っかけるような作曲法での速弾きのための曲です、という意味になるんですかね。

 この曲は、何と言っても冒頭のフレーズが有名。重厚すぎるほどの曲調ゆえに昔から、喜劇などのBGMとして、パロディ的、多くは突然訪れた悲劇的・衝撃的出来事を強調する場合などに使用されていますよね。ディズニーファンの方には映画『ファンタジア』で使用されていたのをご記憶されているかもしれません。

 さて続いては、同じドイツの作曲家によるこちらの曲です。