「幸運を祈る」と言ったトランプの本心
人種差別意識がまだ色濃く残る南部サウスカロライナ州が騒がしくなってきた。
サウスカロライナは、英国から最初に独立を宣言した植民地。英国王チャールズ1世の栄誉を称えて「カロライナ」と命名された。
(チャールズはラテン語でカロラス。その英語読みはカロライナ)
サウスカロライナは、共和党の大統領予備選が最初に行われる3州の一つ(アイオワ、ニューハンプシャーに次いで3番目)。序盤戦の流れを作る重要州だ(民主党予備選は2024年から最初に行われる)
人種構成は白人64.1%、黒人27.9%、ヒスパニック5.1%、アジア系は1.3%。
そのサウスカロライナ州の最大の都市、チャールストンで、ニッキー・ヘイリー元サウスカロライナ州知事(51)*1が1週間前から予告していた2024年大統領選出馬を宣言した。
ドナルド・トランプ前大統領(76)の政権で国連大使を務めたインド系女性移民2世だ。
*1=両親はインド・パンジャブ出身のシーク教徒。ヘイリー氏の出生名はニムラタ・ニッキー・ランドハワ。大学時代に知り合った白人のウィリアム・マイケル・ヘイリー氏(州兵事務所勤務)とシーク教で結婚式を挙げたが、その後プロテスタント・長老派信者に改宗。サウスカロライナ州の小さな町バンバーグで生まれ育った。
演説では「私は白人でも黒人でもない」と言い続けてきた。
「さんざん人種差別を受けた。それでも私はこの素晴らしい国に生まれ育って幸せだ。世界で一番素晴らしい国だ」と付け加える。
その物腰の柔らかさは「人を引き付ける誘導磁気的魅力(Magnetism)がある」(地元紙の政治記者)。
ヘイリー氏は、(ご丁寧にも)前日にはオンラインで出馬表明。全米レベルでの知名度の低さを熟知してのことか、かつての「親分」だったトランプ氏はじめ党内要人との調整に時間をかけたのか。おそらく双方だろう。
共和党からはすでにトランプ氏が2022年11月に立候補しているから2人目の正式な立候補者だ。