数千人大集会は今は夢のまた夢
ドナルド・トランプ前米大統領が、大統領選出馬表明後2カ月経ってようやく、フロリダ州にある私邸、マール・ア・ラーゴから重い腰を上げ、本格的な選挙キャンペーンを始めた。
1月28日、東部ニューハンプシャー州と南部サウスカロライナ州を相次いで訪れ、支持者を前に大統領選に向けた演説を行った。
両州は共和党の候補者指名争いの序盤戦が行われる州。全体の流れを決めるため、各候補者が積極的に活動する州として知られる。
かつては特別機から降り立った空港に数千人を集めて大集会を開いていたトランプ氏だった。
しかし、今では地元高校の講堂や州議会など屋内で200人程度の支持者を集めた小規模集会に終始。地元出身の上下両院議員や元議員の中には姿を見せぬ者も出てきた。
その代わり、演説後は地元のレストランや商店を回って店員や客と握手をしたり、赤ちゃんにキスしたり、と日本流「ドブ板作戦」を繰り広げている。
今までのトランプ氏では到底考えられないことだった。
(https://www.thedailybeast.com/inside-donald-trumps-sudden-and-doomed-foray-into-retail-politics)
同行しているメディアの記者はこう書いている。
「常に高い壇上から上から目線の選挙キャンペーンをやってきたトランプ氏にとっては初めてのこと」
「かつてのように支持者(や野次馬)を大量動員できなくなった、と地元トランプ選対関係者は漏らしている」
「それにこれまで大手保守系メディアしか相手にしなかった同氏は、地元メディアとのインタビューを精力的にこなしている」
「逆境に立たされているとの認識が働いているのだろう」
共和党内のトランプ離れが進み、司直の手も迫る逆風の中、大統領退任後から言い続けてきた常套句を繰り返す。
「共に再び米国を偉大にしよう(Make America great again together)」
「バイデン政権下の移民流入や犯罪が急増している。米国のために過激派左派(Radical Left)や既得権益層や米国から雇用と技術を奪う共産中国(Communist China)に立ち向かおうではないか」