移民の純増がなく、死亡者が変わらないと仮定すると、人口が安定するには、合計特殊出生率が約2.1人である必要がある。

 子供を持つことが人気を失っている理由はいくつかある。

 主な理由は子育てのコストだ。北京のシンクタンク、育媧人口研究所は昨年、1人当たりの国内総生産(GDP)比で見ると、中国の子育ての費用は米国を含む先進国数カ国を上回ったと報告した。

 子供を持つのが中国以上に高くつく国として唯一、韓国を挙げている(韓国は世界で最も出生率が低い国だ)。

 育媧は、中国の出生率低下は国の革新力と「全体的な国力」に「深刻な悪影響」を与えかねないと警鐘を鳴らした。

子育ての負担に加えて親の介護も

 政府の給付金は、親にかかる負担をほとんど和らげていない。

 広東省深圳市は1月10日、第3子(または追加の子供)を持つ夫婦に、子供が生まれてから最初の3年間で総額1万9000元(2800ドル)の補助金を給付することを提案した。

 だが、国営メディアに発表された公式推計によると、これは総コストの約8%にしか相当しない。

 中国不動産市場の最近の落ち込みにもかかわらず、住宅価格はまだ高い。

 カップルは多くの場合、家を買うまで結婚を先送りする。中国の婚姻数は2014年以降、ずっと減少している。

 出産に対するもう一つの経済的障壁が、高齢者の面倒を見るコストだ。

 中国では現在、約3500万人が80歳以上だ。2050年までに、この数字は4倍以上に膨らむと見られている。

 政府が介護に対する支出を劇的に増やさない限り、家族がその費用の大半を背負うことになる。