韓国の文在寅・前大統領(写真:AP/アフロ)

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国政権の「積弊捜査」が勢いを増してきた。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領にしてみればさぞや落ち着かない夜が続いていることだろう。

 西海公務員襲撃事件や文氏の娘婿の就職優遇疑惑はすでに捜査が進んでいたが、さらに蔚山市長選挙介入事件の裁判では「VIPの意思という話を聞いた」という新しい証言も飛び出した。焦燥感の表れか、文前大統領は検察と尹錫悦政権に向かって「度を越えるな」と怒りを発したほどだ。だがここにきて、こうした文氏の態度に「共に民主党」内からも「静かにいてほしい」と突き放すような声も上がり始めている。

23人もの前政権幹部が捜査対象に

 現在、尹錫悦政権の検察捜査は大きく2つの方向で進められている。ひとつは国会最大党の共に民主党の党代表である李在明(イ・ジェミョン)議員個人の不正に関する捜査、そしてもうひとつは、文在寅政権5年間に起きた各種の不法行為に対する捜査だ。

 まず、李在明代表が関連していると見ている7つの不正捜査では、李氏の最側近のチョン・ジンサン氏、金湧(キム・ヨン)氏が拘束・起訴されているが、ついに李氏に対しても被疑者としての召喚調査が通知された。

 一方、文在寅政権に対する不正捜査は、現在まで少なくとも23人の文在寅政権時代の閣僚・次官級が捜査対象に上がっている。「西海公務員射殺事件」では、徐勲(ソ・フン)元国家安保室長が拘束・起訴され、朴智元(パク・チウォン)元国情院長や徐旭(ソ・ウク)国防部長官らも捜査を受けている。