12月6日、トラック運転手らが行ったストライキの模様(写真:AP/アフロ)

 世界で最も強硬労組と呼ばれている韓国の民主労総と、民主労総を「利益カルテル」と規定した尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国政権との戦いが本格的に始まった。

 朴槿恵(パク・クネ)氏弾劾の核心勢力として文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に急激に勢力を拡大させた民主労総が貨物連帯ストを皮切りにゼネストに突入すると、尹錫悦政権は法と原則に基づいた対応を明らかにし、全面対決に突入したと言っていい。

「世界で最も強硬な労組」

 民主労総は16の産業別労働組合を従えたナショナルセンターだ。朴槿恵政権時代には一時、加盟者数が69万人にまで減ったが、親労働者路線をとった文在寅政権になってからは加盟者数を急激に増やし、現在は110万人の会員で韓国最大の労働組合として君臨している。産別労組の賃金交渉の度に連帯ゼネストと大規模デモで会社側と政府を恫喝して主張を貫徹していくその闘争スタイルにより、「世界で最も強硬な労組」と呼ばれている。

 今回の民主労総の時ならぬ“冬闘”は、11月24日、「全国公共運輸労働組合」に加入している「貨物連帯」のストライキで始まった。

 貨物車主(トラック運転手)は仕事を取るために運賃の削減を飲まされ、そのうえ過積載や過速度運転を日常的に強いられることも多く、常に事故の危険にさらされてきた。

 そこで、自営業者の彼らも「貨物連帯」という組織を作り、政府に対し「標準運賃」を設定しこれに違反した荷主に対して厳しい処罰を要求する「安全運賃制」の導入を粘り強く要求してきた。03年から毎年、上位組織の民主労総と一緒にゼネストを繰り返してきた貨物連帯の強硬闘争に応えたのは文在寅政権だった。安全運賃制の導入を大統領公約に掲げた文在寅政権は、2020年、セメントとコンテナの貨物車主に限り、3年間の一時的な安全運賃制を施行することを発表したのだった。