(英エコノミスト誌 2022年12月3日号)
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猛威を振るう感染症と不人気で高コストなロックダウンの板挟みになり、習近平国家主席には良い打開策がない。
新型コロナウイルス感染症の流行に際してロックダウン(都市封鎖)という対応策を生み出したのは中国だった。
パンデミックが始まると、習近平国家主席率いる政権は感染が武漢からほかの都市に広がるのを防ぐため、数千万人の住民を同市内に数週間閉じ込めた。
あれからほぼ3年が経った今、ロックダウンは中国の失敗の原因になっている。
感染者数増加と抗議行動の組み合わせは、習氏が今後、大規模なロックダウンと感染者の大量発生との間隙を縫うように進まなければならないことを意味する。
結局は、その両方に絡めとられる可能性もある。
今後数カ月の間に習政権は2012年の発足以降で最大の脅威に直面し、中国共産党の権威も1989年の天安門事件以降で最大の脅威にさらされることになる。
感染急増と抗議デモのダブルパンチ
中国では、地方での散発的なストライキは珍しいことではない。
だが、新疆ウイグル自治区の首府ウルムチの火事で少なくとも10人の住民が死亡した(コロナのために建物が封鎖されており、逃げられなかったと伝えられる)後、デモが全国各地で勃発した。
11月最後の週末の北京では抗議行動の参加者が「自由」を要求し、上海では習氏の退陣を求める声が上がった。
デモの規模は小さかったが、中国ほど厳しく監視されている都市では、人が集まったこと自体が驚くべきことだ。
デモ参加者だけが反対しているのであれば、治安部隊の手で秩序を回復できる。だが、習氏はウイルスという手を緩めることを知らない敵とも対峙している。
行く手にどんな政治的、経済的混乱が待ち受けるかを理解するには、中国でこの感染症の流行がどのように悪化してきたかを先に把握しておかねばならない。