江戸時代からウドを栽培してきた井口家の収穫風景(昭和初期、推定)。このころは地上に盛り土し、覆いをかけて白ウドにする伏せ込み軟化ウドを作っていた。現在のように室(むろ)で白ウドにする技術は昭和20(1945)年ごろに開発された(写真提供:大竹道茂氏)

(杉山大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

毛髪で湿度を測る

 東京・武蔵野市の成蹊中学・高等学校にはなんと「成蹊気象観測所」がある。吉祥寺駅が最寄りだ。訪ねると、田中博春所長が詳しく案内してくれた。中学1年の担任も兼務しているという。

 この気象観測所は教育が目的だという。生徒も観測し、データを整理する、という実習をしている。こういう活きた教育を受けられる生徒は幸せだ。

 昔ながらの計測器がたくさんあって見ていて楽しい。いまはデジタル式のものが多いが、どのような動作原理かよく分からない。昔のものは、機械仕掛けになっていて、原理からよく分かる。

 筆者も教科書でしか見たことがないような機器がいくつもあった。

 まったく知らなかったのは、人の髪の毛が湿気で伸び縮みすることを利用した湿度計だった(下の写真)。そういえば、雨の日は髪がチリチリになると言う人がいたなあ・・・。それにしても、よく考えたなこれ。

毛髪型湿度計。写真では細くて見えないが、髪の毛が伸び縮みすると、中央のアームが動いて、左にあるドラムにインクで連続記録される