「日本で差別を感じたことはない」と言い切った在日の若者

 在日の若者の悩みの一つに、就職差別がある。もちろん、就職差別はあると思うが、日本人であっても、地方から出てきた人や学歴の低い人は見えない差別があった。それを差別というのであれば、在日の若者が話す就職時の差別はそこまで大げさに訴えるものではないのではない、というように思う。

 今年の夏、大阪で在日韓国人の友人の息子、娘と話す機会があった。息子の方は小学校が朝鮮学校で、中学から大学までは日本の学校に通った。現在は大阪の証券会社で働いている20代だ、その妹は、関西の私立大学に通う3年生である。

 彼らと話した時に興味深かったのは、「日本で差別を感じたことはない」と言い切ったことだ。しかも、街頭で差別を訴える在日の若者の気持ちが1ミリも理解できないと言う。彼らは国籍も韓国籍で、名前も本名を名乗っている。

 二人は韓国語の日常会話は十分にうまいレベルで、それだけでも周囲の日本人からの評価が高いと話す。兄は韓国語に加えて英語も話せるので、日本在住の韓国人を相手に仕事ができるため、会社では高く評価されている。

 妹の方も同様に韓国語を話すことができる上に、韓国ドラマやK-POPの影響もあり、中学、高校、大学ではみんなが話しかけてくるという。

 日本では、在日であっても通名を名乗ることで日本人のように暮らすことができる。その中で、彼らは本名を名乗ることで「私は在日です」と主張していることになる。それでも、何の不満も不自由もないというのだ。

 今の時代、日本における差別とは何であろうかと私なりに考えると、韓国在住における在日差別から見えてくる答えがある。