年齢差別は人種・性別差別と同じ
ジョー・バイデン米大統領はどうやら「80歳の壁」*1を打ち破ったかに見える。
バイデン氏は11月20日に80回目の誕生日を迎える。
もっとも米国人の感覚には「80歳の壁」といった概念はない。年齢で「差別」するのは人種差別や性別での差別同様、建前では禁じられているからだ。
だからサラリーマンには65歳定年制などはない。能力がなければ30歳でも解雇される。
*1=「80歳の壁 (幻冬舎新書)」。50万売れているベストセラー。著者は80歳からは命に直結する壁であり、それを破るには嫌いなことはせず、好きなことだけせよと助言している。
その代わり、米国には「年相応」とか「年甲斐もない」といった表現はない。3歳の子供が80歳の高齢者をファーストネームで呼ぶ国だ(目上の人を敬う敬老精神は薄弱なようだ)。
政界でもミッチ・マコーネル上院院内総務は80歳、ナンシー・ペロシ下院議長は82歳。世代交代を主張する声も一部にはあるが、ご本人たちはびくともしない。
バイデン氏は、失語・失言がしばしば指摘され、一部には2024年大統領選出馬が危ぶまれており、カリスマ性やパンチ力のなさから支持率は低迷してきた。
ところが11月6日の中間選挙で「80歳の壁」を打ち破った!
バイデン民主党は上院で50議席を確保、決選投票が12月6日に行われるジョージア州でも勝ちそうだ。
予想では大敗すると言われていた下院でも11月15日現在、民主党207議席に対して共和党が217議席。あと1議席で共和党の過半数が決まるが、予想外の接戦だ。激戦州の知事選では3勝2敗。
2020年大統領選以降、選挙実施・改正などでその役割が重視されてきた激戦州の州務長官選でも2勝2敗(2州開票中)と「政権与党が負ける」とされた中間選挙で善戦している。
「気分は最高」で出かけたバイデン氏は、東南アジア歴訪では東アジアサミット、G20首脳会議、米中首脳会談、日米韓首脳会談を無事こなした。