2022年3月25日、北朝鮮は金正恩氏の指揮のもと、大陸間弾道ミサイル「火星17」の発射実験成に成功したと発表した。後に韓国国防部は、このミサイルは「火星17」ではなく2017年にも発射された「火星15」であると発表した(提供:KCNA/UPI/アフロ)

 韓国を狙った短距離ミサイル挑発を続けていた北朝鮮が、4日の午前、5年ぶりに日本上空を通過する射程4500kmの弾道ミサイルを発射した。

 この挑発に対し、記者団のぶら下がり会見に応じた韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「韓国軍をはじめ国際社会の決然とした対応に直面するだろう」と強く警告したが、実際には北朝鮮に対する現実的な対応策があまりないというのが大方の見方だ。実際、日米韓の各国政府が非難声明を出すのをあざ笑うかのように、北朝鮮は6日、今度は日本海に向けて2発の弾道ミサイルを発射したのだった。

 エスカレートする一方の北朝鮮の挑発を目の当たりにした韓国では、一部で独自の「核武装論」を唱える声が大きくなりつつある。

次第に高まる「挑発」のレベル

 今年の5月9日、韓国に尹錫悦「保守」政権が発足して以来、北朝鮮は計9回のミサイル挑発を敢行してきた。最初は防空砲や短距離ミサイルを動員して低強度の挑発を強行した北朝鮮だが、今回は歴代挑発の中で射程距離が最も長い4500kmの弾道ミサイルを東海(日本海)上に向けて発射し、日本上空を通過させた。もし角度を調節して発射したとすれば、米軍の戦略兵器が集結しているグアムにまで到達できるミサイルだ。

 日本のメディアによると、このミサイルは核弾頭搭載が可能な「火星12」と推定されている。つまり今回の挑発の目的は、アメリカも北朝鮮の核の射程圏にあることを誇示する狙いがあると見られる。