高高度飛行で増大する宇宙線被爆

 現在の航空機でも高高度、高緯度を飛ぶと太陽から降り注ぐ宇宙線を多く浴び、それはがんの原因になるとされる。

 宇宙線量は高度3万5000フィート(10.7km)より高い高度になると急激に増加し、乗客も乗員同様、昼夜関係なく等しく浴びる。超音速機は巡航高度で5万5000~6万フィート(16.8km~18.3km)と通常の旅客機が飛ぶ高度の約2倍弱の成層圏を飛ぶため、浴びる放射線量は半端ではない。

 参考に述べると現行の旅客機でも長距離便では燃費向上のため高高度(約4万フィート、12.2km)で大圏コース(高緯度となる)を飛行する。そのため、11年周期(次回は2025年)で起こる太陽フレア(太陽表面の異常爆発)の時期では、1フライトで地上で人類が浴びる線量の1年分を浴びると言われている。

 この宇宙線をプロテクトするためには機材の外板に鉛を入れればよいのだが、そうすると機体重量が重くなり経済性が著しく低下するのである。

 ちなみにこれは以前聞いた話であるが、エールフランスのパイロットはこの宇宙線被爆を少なくするため、コンコルドの乗務は2年でいったん外れ、在来機種に戻されていたと言われている。

 コンコルドの時代では乗客にあまり説明がなされていなかったこの宇宙線被爆の問題をどうするのか、これまでの報道では明らかにされていない。