トランプ氏のフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」(写真:ロイター/アフロ)

(山中 俊之:著述家/芸術文化観光専門職大学教授)

 トランプ氏のフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」がFBI(米連邦捜査局)によって家宅捜索を受け、国家機密に関する資料が押収された。

 宮殿のような豪華絢爛の広大な自宅にて、外部に貸し出しされている部屋を除き、倉庫などを含めすべて捜査されたというから、相当徹底したものであったのであろう。米国大統領経験者の自宅のここまで大規模な家宅捜査は前代未聞と言って良い。

 FBIの過去の捜査対象者を比較しても、トランプ氏は超横綱級の捜査対象である。政治的な批判やリスクを覚悟した上で行われた今回の家宅捜査。FBIはルビコン川を渡ったと言える。

 容疑は、スパイ活動法違反である。同法律は、国家機密の漏洩防止などを目的に1917年に制定された。国家機密を公開してロシアに亡命したエドワード・スノーデン氏も、同法律で告発されている。

フロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」の家宅捜索に関する捜査令状(写真:AP/アフロ)

 米CNNやNew York Timesなどの米国メディアは、数日間この話題で持ち切りであった。

 それに対して、日本メディアの報道は大変に小さいように感じる。本事件は、米国の政治、司法との関係、社会の分断など極めて大きな影響を与えると考えている。ひいては米国経済の影響を受ける日本人ビジネスパーソンにも無縁ではない。

 今後の展開を予測したい。