韓国の尹錫悦大統領(写真:ロイター/アフロ)

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、外交的に大丈夫なのだろうか?

 5月10日に華々しく政権を発足させてから、まだ3カ月だ。だが8月8日に韓国の調査会社リアルメーターが発表した支持率は、29.3%と、危険信号と言われる3割ラインを、初めて下回った。不支持率は67.8%と、見る影もない。

 9日には、若者に人気のあった与党「国民の力」の李俊錫(イ・ジョンソク)代表(37歳)を解任してしまった。理由は、9年前に李代表がどこぞやの企業から性的な接待を受けたという「小さな古傷」だ。

 さらに今週、ソウルを115年ぶりの豪雨が襲った。8人が死亡し、400カ所以上が浸水、首都機能が完全にマヒした。尹大統領は、被害の大きかった貧困層が住む「半地下」を視察したが、市民たちは声を荒らげていた。別に大雨は尹大統領のせいではないが、弱り目に祟り目というものだ。

8月9日、豪雨により浸水被害を受けたソウル市冠岳区の「半地下」の住宅を視察する尹錫悦大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 さらに、私が今回問いたいのは、「外交的に」尹錫悦政権が大丈夫なのかということだ。アメリカと中国という2大国の激しい「股裂き」に遭っているからである。

経済面での中国依存度はますます高く

 3カ月前、尹大統領はソウルの汝矣島(ヨイド)広場で行った就任式で、わずか12分の演説の中で「自由」を35回も連発した。前任の文在寅(ムン・ジェイン)が、北朝鮮と中国に偏ったことを意識し、自分はアメリカと日本という「自由民主陣営」とともにやっていくということを、明確にしたのだ。

 だがそこには、中国の王岐山(おう・きざん)国家副主席が出席していた。習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の親書を尹錫悦新大統領に手渡した王副主席は、「ぜひ早期に中国を訪問してほしい」と、習主席の言葉を伝えた。

 その意味するところは、「8月24日に北京でお待ちしています」ということだった。この日は、中韓国交正常化30周年の記念日である。