ワクチン接種済みのほうが感染率が高い「逆転現象」
では、実際のデータについて見てみよう。次の表はアドバイザリーボードで提示された6月6日から12日のデータをもとに、筆者が60-69歳と12-89歳を付け加えて作成したものだ。
まず、一番下の欄、12-89歳を見ると、10万人あたりの新規陽性者数は、3回目接種済みでは27.0人と少ない。これに対して、未接種と2回目接種済み(3回目接種済みを除く)は、それぞれ76.4人と76.2人で、あまり違いがない。
次に、年齢区分別に見ると、30代、40代、60代、70代では、いずれも2回目接種済みのほうが未接種よりも10万人あたりの新規陽性者数が多い。つまり、これらの年代では、2回目接種済みのほうが新規感染率の高い「逆転現象」が起きている。
このうち特に、65-69歳では、3回目接種済み(10万人あたりの新規陽性者数17.1人)と比べても、未接種(同15.2人)のほうが少ない。ワクチンを打ったのに感染率は高いという状況になっている。
この表によると、40代~70代(50代を除く)では、2回目接種までの感染予防効果はほぼ消失してしまっていることになる。