藤田 私もロボットは好きです。世代的にはマジンガーZとかガンダムとか、どちらかというと機能拡張系の強いロボットを目にしてきましたが、ウェルビーイングを考えると“弱いロボット”の存在も理解できます。でも、世間はまだ前者を求めている気もします。
安藤 そうですね。ロボットというとまず、生産性の話になりますから。しかしここ数年、地球環境や人間の豊かさを含めた社会合理性に、人々の関心が移りつつあると感じます。
藤田 経済合理性を追求しても幸せになれないという現実を見たときに、なんのための効率化なのかと疑問が湧きますよね。人々はなぜ、弱いほうに向き始めたのでしょう?
安藤 1つは、人々が経済成長みたいな社会の大義ではなく、個人で実現したいことなどコミットしやすいことに集中するようになったからではないでしょうか。また、ある程度の生活に必要な経済水準を満たすと、心の豊かさや達成感を求めるようになるのではないでしょうか。
会社のためというよりも、好きなことをしっかりとやる。その上で社会に貢献していきたい、という方たちが増えたのだと思います。
ウェルビーイングは北極星のようなもの
藤田 最近はウェルビーイングがブームになっていて、幸福がとても崇高なものになしまっている気がします。
安藤 たしかに。数年前は社内でも「ウェルビーイング」という言葉が通じる場面は少なかった。でも、ウェルビーイングってそもそもwellなbeingなわけで、“いい感じ”くらいのことではないかと(笑)。
藤田 その通りですね!(笑)
安藤 だから、幸福度みたいなものがあるとして、それを10から20に上げることを目標にするのはあまり意味がないと思うんです。幸せは厳格に定義できるものではなく、“北極星のようなもの”で、あっちのほうにいったらいい感じだよねという目安のような感覚です。