「ウェルビーイング」という新しく大きな潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えるのか? また、それに応じてどんな新しい産業や市場が生まれるのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業、インテグレートの藤田康人CEOが考察していく。(JBpress)
テレビの新シリーズがスタートし、多くのコラボ商品が次々に発売されるなど相変わらず絶大な人気を誇る漫画『鬼滅の刃』。作中では、超人的な力を持つ鬼を倒すため、主人公の竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊の隊士たちが、「全集中の呼吸」という呼吸法を取り入れ、鬼に対抗する力を己の体から引き出しています。
「全集中の呼吸」は、肺に酸素をたっぷり取り込み、血液中の酸素濃度を高める呼吸法で、一瞬にして高い集中力と身体能力を手にすることができます。また、「全集中・常中(じょうちゅう)」は、名前の通り寝ている間も含めて1日中全集中の呼吸を使用し続ける技術です。鬼殺隊の「柱」たちは全員会得しており、作品の中では、鬼との戦闘により発生した傷を止血したり毒の効果を遅らせる活用法も出てきます。
呼吸法が人間の本来持っている力を増幅させるのは、実は漫画の中だけの話ではありません。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』(アスコム)を刊行した順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると、「呼吸によって血液中の酸素濃度を高める」ことは実際に可能だそうです。「呼吸によって肺に取り込まれる酸素は、血液に溶け込み、毛細血管を経由して全身の細胞に届けられていきます。ゆっくりと深く呼吸をすれば、肺に取り込まれる酸素量が増え、酸素を運ぶ全身の血流量もアップします。その結果、全身の細胞の活性化につながるでしょう」といいます(アスコムのプレスリリース「『鬼滅の刃』の「全集中の呼吸」は現実でも使える?? 自律神経の名医が健康効果を検証」より)。