「Aug Lab」で開発された「babypapa」(「Aug Lab」ホームページより)

 心身の健康だけでなく、社会的にも良好な状態にあることを意味する「ウェルビーイング」。最近では「顧客のウェルビーイングを起点とした商品・サービス開発」への関心も高まっている。この新しい潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えていくのか? またそこからどのような産業やマーケットが生まれていくのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業、インテグレードのCEO・藤田康人氏が、ウェルビーイングに取り組む実践者たちとの対話を通じて、これからの新しいビジネスを考察する。
 今回は、ロボティクス技術でウェルビーイングの実現を目指す「Aug Lab」(パナソニック ホールディングス株式会社)の安藤健氏に、その世界観や将来性について聞いた。(JBpress)

強いロボットと、弱いロボット

藤田康人氏(以下、敬称略) 「Aug Lab」には、テクノロジーでウェルビーイングを実現する先鋭集団というイメージがあります。

安藤健氏(以下、敬称略) 私たちAug Labは、パナソニックが築いたファクトリーオートメーション技術の応用から出発しました。今までのロボットは人手不足を補う目的で開発されたものが多く、経済成長という大義の下で運用されてきました。しかし工業技術は、GDPの向上や経済発展には寄与したものの、“個人の満足や幸せ”にはあまり貢献できなかったと思うんです。ロボットにできないことを人間がやるというではなく、人間の持つ「こうしたい」「こうありたい」といった思いをサポートするテクノロジーがあっても良い。フィジカルな部分のサポートだけではなく、人の心に働きかけるプロダクトの開発が目標です。

「Aug Lab」のビジョン
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 たとえば、「babypapa」という3体のロボットは、おなかにカメラが仕込んであり、家の中に置くと子どもの写真をランダムに撮ってくれるというもの。babypapaがいれば、離れていても子どもの様子を知ることができますし、別に暮らす家族にもシェアできます。人とロボットのコミュニケーションだけでなく、ロボットが撮った写真をきっかけに家族でのコミュニケーションが生まれる。実証実験では、子どもがロボットを気に入り、服を作ってくれたこともあります。babyapapaのような存在は、親子の会話や人の交流を生み出すきっかけになると思うんです。

パナソニック ホールディングス ロボティクス推進室室長の安藤健氏