テレワークが進み貸し会議室の需要は激減したものの、新たな使い方で再び息を吹き返した

 日本企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)でどのように変われるのか――。

 月極駐車場のDXという新しい分野を切り開いてきたハッチ・ワークの大竹啓裕会長が「DXの現場訪問」と題し、今話題となっている「企業経営者」にインタビューする新シリーズ。

 今回は、定額で貸し会議室が使い放題になる『PFO(Personal Free Office)』を展開するKCC(愛知・名古屋)の阪口富左雄(さかぐち・ふさお)社長にインタビューしました。

 新型コロナウイルス感染症のマイナス影響は計り知れないものがありますが、一方で一気に社会実験が加速して、オンライン化が進んだ面もあります。

 今回はコロナがきっかけで社会に生まれた負の資産をデジタル技術で息を吹き返させる事例です。

 今回の負とは利用されなくなった会議室の空き時間です。コロナとの共存方法を模索する方々にとっては大いにヒントになるでしょう。

 私は東京・横浜・大阪で「アットビジネスセンター」という貸し会議室事業を行っています。今回の阪口社長は「日本会議室」というブランドで全く同じようにリアルな貸し会議室を展開していますのでライバル企業になります。

 本来ならば敵対するはずの私たちが協力し合うことになるほどにこのPFOは魅力的でした。

 今の私は競合する各企業に声をかけてあげたいくらいです。コロナで大打撃を受けた貸し会議室業界に現れた救世主であると確信しました。

 もちろん、貸し会議室が月額制で使い放題になるというサービスは、一般の利用者にとっても魅力的であることはいうまでもありません。

 今回のユニークな点は、競合するライバル企業を味方に変えてしまうDXです。

 前編では、一般ユーザーからみたPFOというサービスの特徴を中心にご紹介します。後編では、コロナ禍で疲弊した貸し会議室業界を救うビジネスモデルについて、ライバル企業が味方に変わるDXの仕組みを解き明かしていきます。