サイバー攻撃も他の武力行使事態と同様に、政治による有事認定行為が必要なため、機敏に対応できない。
国会答弁にあるように、「国または国に準ずる者」による「組織的、計画的」攻撃かどうかが吟味され、これが認められ初めて有事となり、ここで初めて自衛権行使としてのアトリビューションが可能となる。
機敏に対応できないことに加えて、「必要最小限の自衛権行使」という制約から、「アクティブディフェンス」はさらに実施が困難になる。
よって上述のような、誰もが分かる「深刻な被害」が生じて初めてサイバーの反撃が可能となるわけだ。
そのハードルは極めて高く、時間と手間がかかり、サイバー戦に不可欠の「機敏性」「即時性」は既に失われている。
平時であれば、サイバー戦の基本である「アトリビューション」は事実上できないということだ。
たとえ防衛のためでも、相手のネットワークやサーバーに入り込んで「元を断つ」ことはできないのだ。
現在の縛りでは、サイバー戦という現代戦は全く戦えない。ただひたすら自衛隊のネットワークやサーバーが機能不全にならぬよう「対処療法」に右往左往するしかない。
いわば爆撃機の本土空襲を戦闘機で防ぐのではなく、落とされた爆弾の延焼をバケツリレーで防ごうというようなものである。
繰り返すが、サイバー攻撃は日常発生しており、侵略行為か、犯罪行為か判断がつかない。