絶対的な航空優勢を確保できるのは米空軍以外には考えられない(写真は「F-22」戦闘機に空中給油を行う「KC-135]、米空軍のサイトより、4月18日アラスカ上空で)

 ロシアの苦戦が伝えられるウクライナ侵略戦争で、「ロシアはなぜ、制空権が取れない」という質問をよく受ける。

 この場合、「制空権」という用語は不適切であり、「航空優勢」を使用する必要がある。

 制空権とは、いわば絶対的な航空優勢の状況を言い、現代戦で絶対的航空優勢、つまり制空権を取れるのは米空軍くらいである。

 航空優勢とは「時間的、空間的に航空戦力比が敵より優勢で、敵により大なる妨害を受けることなく諸作戦を実施できる状態」(自衛隊教範)をいう。

 作戦の要時、要域においてどちらの方が「妨害されない状況」にあるかが重要となる。

 また航空戦力の高速性、広域性という特性上、たとえ現時点で優勢であっても、次の瞬間には劣勢になるという「浮動性」も念頭に入れておかねばならない。

 ウクライナの戦況は、双方共に絶対的航空優勢は取っていない。

 ウクライナ東部においてはロシアが航空優勢を保持し、西部においてはウクライナがそれを保持している。

 質、量共に軍事力に優るロシアがウクライナ全土の航空優勢を取れていないのは、緒戦における航空優勢獲得の拙劣な作戦が尾を引いている。

 2月24日、ウクライナ全土にわたる空爆から戦争は始まった。

 だが、翌日25日には、もう陸軍が侵攻を開始している。米軍の常識からすると考えられない。