巷間よく言われる「ウクライナを甘く見た」というのがある。
2014年、クリミア半島の事実上無血併合という成功体験により、数日間でウクライナは白旗を上げると考えていたようだ。徹底して壊滅させるまでもないと考えていたのかもしれない。
2番目に、ロシアはまともな空軍を保有する国と戦った経験がないという経験不足がある。
これまでアフガニスタン、チェチェン、グルジア、シリアなど、戦った国は航空戦力と呼べる戦力は持っていなかった。
ウクライナ空軍はロシアの約10分の1と小規模であるが、完結した航空戦力を持っており、練度も低くなかった。
3番目として、陸軍主体の戦争ドクトリンが挙げられる。
ロシア軍の航空作戦は陸軍支援を最優先する。航空優勢は陸上作戦に応じて要時、要域を確保すれば事足りると考えている。
米軍のように、全局の作戦要求に応じて、空軍が主体的に全般航空優勢を確保するという思想はない。
4番目としてロシア空軍がそもそも外征作戦、攻勢作戦には不向きの兵器体系になっていることがある。
例えば、外征作戦では、敵地でも緊急脱出したパイロットを救助できる戦闘救難(CSAR: Combat Search And Rescue)機能が必要である。
だがロシアには戦闘救難の専属部隊は保有していない。