中国、ロシア、北朝鮮などによるサイバー攻撃は日常行われており、今この時点でも発生している。
米国が特殊なのではない。日本に対しても同じである。何より深刻な問題は、攻撃の大半に日本自身が気付いていないことだ。
東京オリンピックの期間中、大会運営にかかわるネットワークなどに、4億5000万回のサイバー攻撃が加えられたと伝えられている。認識できただけでもこれだけある。
何事もないかのような日常においても、サイバー空間では熾烈な暗闘が繰り広げられている。それは犯罪なのか侵略行為なのか見分けがつかない。
自衛隊にサイバー専門部隊ができたのは、2014年である。
自衛隊のサイバー部隊は、自衛隊に対するサイバー攻撃から守るための部隊であり、自衛隊以外に対するサイバー攻撃を防衛する任務は与えられていない。
最大の問題点は、侵略行為としてのサイバー攻撃であっても、現行法制上、満足な対応ができないことである。
2020年4月河野太郎防衛相(当時)は、他国からのサイバー攻撃に対し、自衛隊が反撃する可能性として、次のような事例を挙げた。
国内の電力会社のネットワークや航空管制システムが乗っ取られるなどした結果、
①原子力発電所の炉心溶融
②航空機の墜落
③人口密集地の上流のダム放水などが起こった場合。