台湾有事や尖閣有事の場合には沖縄が最前線基地となる(写真は嘉手納基地に配備されている米空軍のF-35 A、3月10日撮影、米空軍のサイトより)

 ロシアによるウクライナ侵略戦争の出口が見えない。

 この戦争で明確になったことは、国連の常任理事国が、核の脅しを背景に、力による現状変更、つまり侵略戦争を始めれば誰も止められないということだ。

 国連は無力な醜態を晒し、米国は早々に武力不行使を宣言した。

 ウラジーミル・プーチン露大統領は2014年のクリミア併合を巡るインタビューで、「核兵器を使う用意があった」と述べた。

 ジョー・バイデン米大統領が早々に米軍は派遣しないと宣言したのも、この発言が多分に影響を及ぼしている。

 戦略家エドワード・ルトワックは「核兵器は使われない限り有効」と喝破した。核はなるほど使い難い兵器になった。広島、長崎以降、核は使用されていない。

 では核は無駄かというと残念ながら現実はそうなっていない。核による威嚇、恫喝が極めて有効であり、外交力、国防力を格段に向上させることをロシアは世界に証明してみせた。

 日本にとって、これは他人事ではない。

 我が国の隣には、もう一つの「力の信奉者」である常任理事国、中国がいる。中国は台湾併合を国家目標と掲げ、武力併合を否定していない。

 中国が台湾武力併合に動いた時、習近平国家主席が「米国が参戦すれば、核の使用も辞さない」と言えば米国はどう動くのだろう。

 台湾有事は日本有事である。核をちらつかされても日本は台湾への支援を実施するのか。