プーチン氏はロシアの野望と実力とのギャップを埋めるために――そして自分が米国の侵略だと見なすものに抵抗するために――ロシアが今でも世界クラスだと主張できる唯一の分野を繰り返し利用してきた。
軍事力がそれだ。
過去14年間で、プーチン氏はジョージア(グルジア)とウクライナに(2度)侵攻し、シリアで戦った。
傭兵をリビア、中央アフリカ共和国、スーダンに送り込み、今ではウクライナにも配備した。
プーチン氏は、自国の弱さをめぐる劣等感にさいなまれた国際社会の乱暴者だ。
同じように野心を持っているが、今のところ成長著しい経済面と外交面での影響力を駆使して成果を得ることができている中国と対比してみるといい。
ロシア軍再建には長い時間がかかるが・・・
ウクライナでの屈辱により、超大国の地位を主張するロシアの最後の柱が崩れかけている。
今回の戦争はまだ長引くかもしれない。もしそうなれば、ロシアはその間、ほかの地域で大規模な軍事行動を取ることができない。
装備品や弾薬、人員は急速に費消されている。ロシア軍を完全に建て直し、ウクライナで犯したミスを回避できるように再訓練を施すには何年もかかるかもしれない。
プーチン氏が政権を維持するせいで制裁が継続されれば、再建に要する期間はさらに長くなるだろう。
ロシアのミサイルには西側製の部品がぎっしり詰まっている。外の世界に関心がある有能な人材の流出は、ロシア経済のパフォーマンスを押し下げる。
その間ずっと、ロシアが軍事力を投射できなくなればなるほど、ロシアが世界を混乱させる力も小さくなる。