国宝級の神社仏閣を顧客にした手法

 なぜトラストは国宝級の神社仏閣を顧客にすることができたのだろうか。その決め手となったのは、実施前の詳細なレポートと、アフターメンテナンスだ。例えば、延暦寺のケースである。

 比叡山中にはお堂など200もの宗教建築物がある。延暦寺は、そのすべてにシロアリ防除対策を施すと莫大な費用になってしまうことに悩んでいた。

 それに対して、シロアリの習性を熟知する山下氏は、どの院・お堂のリスクが高いのか、どの院・お堂を優先して対策すべきなのかを記載した写真付きレポートを作成、提出した。このレポートが、延暦寺でシロアリ対策の業者選定稟議を通すのに大きな威力を発揮した。

トラストの代表取締役社長、山下元信氏

 延暦寺の担当者は「自分が担当でいる間のシロアリ防除は、トラスト以外考えられない」と語る。

 自前の調査リポートに加えて、トラストのもう一つの特徴は、毎年のメンテナンスを丁寧に行う点だ。

 山下氏は「大切な建物や住宅をもう二度とシロアリ被害にあわせたくない」という強い思いを持ち、毎年のメンテナンスにもシロアリの知見を生かしている。売りっぱなしにしないトラストの姿勢が顧客に伝わり、信頼関係を強め収益を安定させているのだ。