(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
3月24日、北朝鮮は平壌の順安区域一帯で、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を敢行した。北朝鮮は、今回のミサイルが「火星17」と発表。韓国国防省は既存の「火星15」だと結論づけ、国会に報告したが、本当に「火星15」なのかという検証報道が韓国メディアでは相次いでいる。
私が北朝鮮に持つ情報筋と、3月28日に北朝鮮労働新聞に発表された記事をすりあわせれば、今回のミサイルは「火星17」だったと私は考えている。
「火星17」が実験発射されたのであれば、北朝鮮はICBMに対するモラトリアム(一時停止)を破棄したことになる。
今回、北朝鮮が発射したICBMを見ると、技術的に大きく進歩しているのは間違いない。
新型ICBMは、角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射された。飛行時間は約67分間、最高高度は6248km、飛行距離は約1090kmと過去最大だった。通常軌道(30~45度)で発射すれば、1万5000km以上の射程だ。単純計算で、ワシントンDCとニューヨークを含む米東部全域が、ICBMの射程圏内に入る。
その上、弾頭部が丸い「火星15」とは異なり、「火星17」は複数の核弾頭が搭載可能な多弾頭形態になっている、弾頭分離技術が完成すれば、ワシントンDCとニューヨークを同時に攻撃することも可能となる。
米国は米本土を十分に攻撃して余りある、北朝鮮のICBM成功に対して、何らかの対策を取らざる得ない。