(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
韓国沖合での中国漁船の不法漁労行為は度を越している。こぞって押し寄せる中国の不法漁船を取り締まるために、韓国の海洋警察庁は必死に摘発しているが、数的な不利もあり難航を極めている。
反面、北朝鮮沖での中国漁船の様子は、信じられないほど謙虚だ。韓国の海上のように傍若無人に行動すれば、朝鮮人民軍海軍警備艇から照準射撃にあうということが分かっているからだ。北朝鮮には海上警察がないので、海上の取り締まりと統制は北朝鮮海軍が担っている。
もっとも、2014年4月頃、北朝鮮の西海上での中国漁船による不法操業で、中国と北朝鮮の間で、深刻な外交的問題に発展したことがある。北朝鮮西海艦隊警備艦が、北朝鮮海域で漁労中だった不法中国漁船一隻を撃沈させて、船員6人を葬ってしまったのだ。今回はその話をしよう。
北朝鮮では、個人で漁船を所有することはできない。生産手段に対する私的所有が許されていないためだ。したがって、北朝鮮漁船は、すべて国家機関が所有している。
だが、漁船を所有している国家機関は燃料や漁具資材が不十分なため、北朝鮮漁船は盛漁期に漁場に出向いていくことができない。せいぜい陸地近海だけで漁労するしかなく、北朝鮮の漁場の大部分は空いている場合が多い。
このような状況に注目した中国は、北朝鮮政府に一定期間の漁場コストを先払いし、北朝鮮漁場に対する操業権のリースを提案した。外貨不足が切迫している北朝鮮政府としては、中国側のこの提案に乗らざるを得ない。北朝鮮は中国漁船に北朝鮮漁場での操業権を与えることにした。