バイデン米大統領は24日、G7(主要7カ国首脳会議)などに出席するため訪問しているベルギーのブリュッセルで記者会見し「ロシアをG20会合から排除する必要があると考えるか」との記者の質問に対し「答えはイエスだ。今日のG7会議でG20会合からのロシア排除の可能性を提起した」としてロシア排除を求める姿勢を明らかにした。
そのうえで議長国インドネシアに対して「インドネシアや他の国がロシア排除に同意しない場合はウクライナをG20会合に参加できるようにするべきだ」と注文を付けたのだった。
オーストラリアのモリソン首相も、24日、メディアに対して「プーチン氏について、米国はすでにウクライナでの戦争犯罪で非難する立場を取っており、その本人と同じテーブルを囲むのは私にとっては度を越している」と語っている。
すんなりとロシアの参加を認める雰囲気ではなさそうだ。
欧米か、それとも中国・ロシアか、選択迫られるインドネシア
このように欧米と中国・ロシアとの板挟みになったインドネシア政府は大いに困惑している。
ロシアを排除すれば中国やインドなどロシアに近いメンバー国から強い反発を受けることは必至であり、またロシアの参加を認めることになれば、欧米からの反発は強く、最悪のケースとして会合出席を見合わせるという可能性も想定され、議長国としての手腕が試されているのだ。
インドネシアは中国が進める「一帯一路」政策に応じる形で多額の経済援助を受けている。中国主導で進む首都ジャカルタから西ジャワ州の州都バンドンまでの高速鉄道計画も、当初の完工時期を大幅に遅らせながらも継続して進行中ということで、中国とは経済的に近い関係にある。
その一方で、中国が一方的に海洋権益を主張する南シナ海では、インドネシア領のナツナ諸島北方海域にあるインドネシアのEEZ(排他的経済水域)が中国の「九段線」と重複する可能性があるとの中国の一方的主張に反発を強めるなど、経済面以外では中国との間に溝が存在するのも事実である。
G20会合は11月の首脳会議とは別に閣僚会合などが順次開催されるが、こうした付属会議へのロシア参加問題も含め、インドネシア政府は早急な判断が求められている。
バイデン米大統領が示した「ロシアが参加するならウクライナが出席できるようにすべきだ」との意見についていえば、G20会合では必要に応じてメンバー以外の国や国際機関を招待することができることになっているため、ウクライナ参加はルール上可能である。ウクライナを参加させることでロシアの参加も他のG20構成国に了解してもらうという線で調整を図ることになるのだろうか。
限られた時間の中でG20会合メンバー国の意見を調整しなければならないジョコ・ウィドド大統領にとっては、頭の痛い、熟睡できない時間が続くことになる。