2016年5月、ロシアのソチで首脳会談を行った後、調印式の席で言葉を交わすジョコ・ウィドド大統領とプーチン大統領(写真:AP/アフロ)

 2022年11月にインドネシアのバリ島で開催される予定のG20会合を巡って議長国であり、ホスト国であるインドネシアが苦境に陥っている。

 というのもG20のメンバー国であるロシアの会合参加を巡って欧米などから「招待すべきでない」との意見が出る一方、当のロシアからは「予定通りにプーチン大統領が参加する」と参加に前向きの方針をインドネシア政府に伝えられ、中国もそれを支持する姿勢を示すなど、収拾がつかない状況に追い込まれているのだ。

コロナからの復活をアピールする絶好の機会のはずが

 インドネシア政府はこれまでのところ、「すべてのG20メンバーを招待する」との立場を取っているが、ロシアの参加を認めると欧米などのメンバーが参加を拒否する可能性もあり、逆にロシアを排除すれば中国などからの強い反発が予想される。極めて厳しい局面に立たされており、どのような判断を下すべきか葛藤を強いられている。

 G20は、1997年のアジア通貨危機を契機として、よりグローバルな国際金融システムの構築、国際会合の場が必要との議論がG7(先進国首脳会議)で高まり、G7に加えて新興市場国の参加が不可欠との考えからスタートした。

 G7のカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国に、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、欧州連合・欧州中央銀行の13カ国と組織が加わってG20が構成されることが1999年に決まった。

 第1回会合は、2000年に米ワシントンDCで開催された。

 それから22年。昨年秋に議長国をイタリアから引きついたインドネシアは、今年11月のG20サミットの会場をバリ島に決め、ジョコ・ウィドド大統領を先頭に国を挙げて準備を進めている。ジョコ・ウィドド大統領にしてみれば「コロナ渦から立ち直る国際社会と経済」をアピールする、またとない政権浮揚策としてG20会合をとらえている。