金正恩のミサイル発射実験は「祝砲」?
ロシアのウクライナ侵攻は2月24日。
北朝鮮はその3日後の27日、その6日後の3月5日、その11日後の16日(日本時間)と弾道ミサイル発射実験を実施した。
2月27日と3月5日は、平壌の順安空港一帯から弾道ミサイルを発射した。偵察衛星用の撮影やデータ送信などの実験だったと主張した。
3回目の3月16日も順安空港一帯から飛翔(ひしょう)体を発射したが、これは失敗した模様だ。
3回にわたって実施された弾道ミサイル発射実験は、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)に関連した性能試験とみられる。北朝鮮のミサイル発射は今年10回目だ。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は最近、国家宇宙開発局を視察し、今後、軍事偵察衛星を多数打ち上げる方針を表明していた。
北西部・東倉里の「西海衛星発射場」も視察し、改修を指示していた。
一連の動きから、4月15日の故金日成主席生誕110年に合わせ、「衛星打ち上げ」名目でICBMを発射するとの観測が出ていた。
そうした究極的な目標を達成しようとする北朝鮮を勇気づけてくれたのが、ロシアのウクライナ侵攻だった。
まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」的な説のようにも聞こえるが、この最中(さなか)、米外交専門家の間で注目されている論文がある。
ドイツ経済学者で北朝鮮ウォッチャーのリュディガー・フランク博士(ウィーン大学教授・東アジア研究部門責任者)が主要シンクタンク「スティムソン・センター」発行の北朝鮮関連サイト「38 North」で発表した。
同氏はウクライナ侵攻で漁夫の利を得たのは北朝鮮だ、と言い切っている。
具体的には、エネルギー面、財政面、外交面、そして金正恩氏が推し進める「先軍政治」「並行進歩」路線の軍事面で、プーチン氏が踏み切った「瀬戸際外交」は北朝鮮にとっては願ったりかなったりだ、というのだ。
(https://www.38north.org/2022/03/north-korea-as-a-beneficiary-of-the-russian-invasion-of-ukraine/)