3月3日、ロシア軍の侵攻に備え、キエフの独立広場に設置された検問所で任務にあたるウクライナの領土防衛隊の隊員たち(写真:ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 ここに一枚の写真がある。ウクライナの首都キエフで売られていた、ロシアのプーチン大統領の顔が印刷されたトイレットペーパーだ。“これでケツを拭いてやる”“このクソ野郎”ということだ(下記参照)。

プチン大統領の顔がプリントされたトイレットペーパー。筆者が2015年にウクライナを訪れた際に購入した。

 いまから7年前の2015年2月にウクライナを訪れたときに見つけた。と、いうより、キエフ市内を歩けば、土産物品を陳列した店頭や露店をはじめ、あちらこちらに並べられていた。

 その前年の14年には、プーチンによってロシアにクリミアが併合され、親ロシア派武装勢力によるウクライナ東部での紛争が勃発。東部のルガンスク州とドネツク州の一部地域を実効支配していた。それに抗議する意思表示だった。

 その延長上に今回のロシアによるウクライナへの全面侵攻がある。プーチンが、親ロシア派武装勢力が実効支配する東部2州を「ルガンスク人民共和国」「ドネツク人民共和国」として独立を承認したのが先月21日。その3日後の24日になってウクライナ政府軍による「ジェノサイド(民族大量虐殺)」が東部地域で起きていると主張し、「ロシア系住民の保護」「自国民の保護」を理由にロシア軍が軍事侵攻を開始した。それも東部のみならず、クリミア半島のある南部、ロシアと一体のベラルーシを含む北部の3方面からの全面侵攻となった。

 ウクライナ国民にとってみれば、あの当時からロシアによる侵略戦争ははじまっていて、首謀者のプーチンを“クソ野郎”として意識していたことになる。