世界でウクライナを支援

 そして世界はウクライナが自国と自国民を守ることに手を貸すべきだ。

 ウクライナ国民はこれから重荷を背負うことになる。戦争が始まって数時間もたたないうちに、兵士と民間人の双方で死者が出たと報じられた。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は国民に、抵抗するよう呼びかけた。

 もしプーチン氏がウクライナに傀儡政権を樹立するようなことになったら、ウクライナ国民はプーチン氏とその軍隊、代理勢力をいかにして、かつどこで追い払うかを決めなければならない。

 NATOは目先、ウクライナに部隊を派遣しない。核兵器を保有する大国同士の対決に発展しかねないことを考えれば、これは当然の方針だ。

 だが、NATO加盟国はウクライナを支援するべきだ。兵器や資金を送ることに加え、難民や、必要なら亡命政権に受け入れ場所を提供すべきだろう。

 プーチン氏は現実との接点を失っているし、事態をエスカレートさせたり、計算ミスを犯したり、中国に抱きついたりしかねないため、こうした形で同氏を刺激するのはリスクが大きすぎると言う人もいるだろう。

 だが、それ自体が計算ミスだ。

 22年間も国のトップに君臨すれば、たとえ自分の運命に対する感覚が発達しすぎた独裁者であっても、生き残るための能力や権力の盛衰を嗅ぎ取る力は持っている。

 何もないところから発生した危機に釈然としない多くのロシア国民は、ウクライナの同胞に対して悲惨な戦争を仕掛けることに熱心でないかもしれない。

 西側がつけ入る隙はここにある。

宥和は危険

 感じよく振る舞うようになることを期待してプーチン氏に便宜を図ることは、もっと危険だ。

 中国でさえ、国境を越えて暴れまくる人物は中国の求める安定を脅かす存在であることを理解するはずだ。

 今日の進軍が自由であればあるほど、自分のビジョンを明日押しつけようとするプーチン氏の決意が強まる。

 そして、ついに同氏の動きを阻止する時に流される血の量も多くなる。