ウクライナの首都キエフでロシア軍の攻撃により炎上した乗用車を消化するウクライナ軍兵士(2月26日、写真:AP/アフロ)

「ロシア側から戦争をしかけることはない」

 2月2日、ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使は筆者の目の前で、はっきりとこう述べた。その口調に淀みはなく、自信に満ちあふれていた。

 その明快な語り口から、その頃特定の専門家が指摘していた通り、ロシアはウクライナに軍事侵攻しない可能性があるとの思いを抱いたほどである。

ミハイル・ガルージン駐日ロシア大使(筆者撮影、以下同じ)

 しかし3週間ほど経った2月24日、ロシアはウクライナに軍事侵攻する。大使の「戦争をしかけることはない」との言説はどこにいったのか。

 ガルージン氏はロシアの外交使節団の最上級にいる特命全権大使であり、ロシアという国家を背負っている人物である。

 ロシアがウクライナに侵攻したことで、国家が嘘をついたと解釈されてもおかしくない。

 そして同大使は2月25日午後2時過ぎ、日本外国特派員協会の会見に現れて、軍事行動についての言い訳をする。

「(ウクライナの東部紛争地域に住む)親ロシア派の住民に対するジェノサイド(集団殺害)を防ぐため」

 2月2日に「戦争をしかけることはない」と言明した時に比べると、同大使の目は虚ろだった。自己矛盾に陥ったと思えるほどで、こうも述べた。

「市民を守るためであり、ウクライナを占領する意図はない」と言った後、「ロシアはウクライナの市民に対しては一切、軍事行動を起こしていない。軍事施設を攻撃しているだけだ」と発言した。