厳しい制裁と防衛体制強化を

 これはロシアの金融システムとハイテク産業、そして裕福なエリートに対する大規模な懲罰的制裁から始まる。

 侵攻の直前、ロシアが2つの共和国を承認した際、西側は軽微な制裁しか科さなかった。今度はためらってはならない。

 ロシアは要塞経済の構築に乗り出したものの、まだ世界とつながっている。そしてロシアの株式市場が当初45%下落したことが示唆するように、制裁は同国を苦しめる。

 確かに、制裁は西側にも痛みをもたらす。

 侵攻を受けて原油価格は急騰し、1バレル100ドルを突破した。欧州にとってロシアは天然ガスの主要供給国だ。ロシアはニッケルやパラジウムといった金属を輸出しており、ウクライナと同様に小麦も輸出している。

 世界経済がインフレとサプライチェーン(供給網)の混乱に苦しんでいる時期だけに、これらはいずれも問題を引き起こすだろう。

 だが、裏を返せば、西側が制裁発動の痛みを負う用意ができているという事実は、今回の侵略行為を西側が非常に懸念しているとのメッセージをプーチン氏に送ることになる。

 2つ目の課題は、NATOの東側の側面を強化することだ。

 NATOはこれまで、1997年にロシアと交わした協定の範囲内で活動しようとしてきた。旧ソ連圏におけるNATOの活動を制限する内容だ。

 NATOはこの基本文書を破棄し、それによって得られる自由を行使して東方に部隊を駐留させるべきだ。

 これには時間がかかる。その間は、NATOは4万人強の即応部隊を前線に立つ加盟国に直ちに派遣することにより、その結束と意図を示すべきだ。

 これらの兵力は、いずれかの加盟国への攻撃は全加盟国への攻撃だというNATOの原則の信頼性を高めることになる。

 またプーチン氏に対しても、ウクライナに深く攻め込むほどその国境におけるNATOのプレゼンスが強まり、プーチン氏の狙いとは正反対の展開になる可能性が高まるだけだというシグナルを送る。