チェチェン
まずは、チェチェン紛争である。コーカサス地方のジョージア(グルジア)に隣接するチェチェンは、ソ連邦を構成するロシア共和国内の一自治共和国であった。1991年11月に独立を宣言したが、モスクワはこれを認めず、1994年12月にロシア軍が攻撃し、独立派は排除された(第一次チェチェン紛争)。1997年1月にロシア軍は撤退したが、その後、独立派が活動を激化させたため、当時のプーチン首相は、これをテロとして弾圧することを決め、99年9月にはロシア軍が空爆を開始した。そして、2000年6月には暫定政府を設置し、その行政府長官に親露派のアフマト・カディロフを据えた(第二次チェチェン紛争)。
その後も、チェチェン強硬派によるテロが、モスクワをはじめ各地で猛威を振るったことは記憶に新しい。ウクライナやシリアでも、チェチェン人が様々な工作に携わっている。
ロシアを後ろ盾にチェチェンの初代大統領となっていたアフマト・カディロフも2004年5月に爆弾テロの犠牲となった。現在、息子のラムザン・カディロフがその後を継いで大統領となり、今やプーチンの忠実な代弁者としてチェチェンを統治している。モスクワからの経済援助によって、カディロフはプーチンの意向に沿うような専制政治を展開しているのである。
ジョージア
次はジョージア(グルジア)である。2008年に起こった南オセチア紛争(ロシア・グルジア戦争)である。コーカサス半島には約30の民族が住んでいるが、言語も宗教も風習も多様である。ジョージアには、親露派で分離独立を唱える南オセチアとアブハジアが存在している。