自由貿易港として開発が進む海南島(写真:筆者友人提供)

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 中国の南端にある海南(ハイナン)島。前編では、免税ショッピングモールや高級リゾート地に中国国内の観光客が押し寄せている状況を紹介しました。後編では、2020年から始まった「自由貿易港を目指す」という新しい政策の現状を、現地のさまざまな立場の人のインタビューを通じてお伝えします。

前編
いま「爆買い客」の波が中国・海南島へ押し寄せている
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68824

 自由貿易港を目指す「海南自由貿易港建設总体方案」(自由貿易港政策)については、前編で概要を紹介しましたが、もう一度簡単にまとめておきます。

 核となる政策は、「島全体の関税を廃止し、大規模な免税政策の実施」などの消費産業に対する優遇措置、「海南島で設立された外資および中国企業への優遇措置」などの企業優遇政策、「外国人の永住権の取得優遇や不動産購入の自由化」などの人材向けの新施策などです。

 自由貿易港政策は3段階の目標に分けて進められており、2025年には「投資と貿易の自由化」、2035年には「人、物、資金の自由な移動」、2050年には「世界で影響力を持つ自由貿易港」を目指しています。

消費博覧会では日本企業の出展が最多

 海南島へ世界の企業を誘致する活動を行っているのが海南国際経済発展局(Invest Hainan、http://www.investhainan.cn/)です。日本語および日本市場担当の高潔さんと曲延旭さんにお話をうかがいました。

――現在どのような日本企業が海南島に進出していますか。

高さん:一つ目は小売りや高級ブランド、消費財を販売している企業です。2021年には近鉄百貨店が海南島の免税ショッピングモールで日本ブランド館を開業しました。同じ昨年に開催された「中国国際消費品博覧会」(China International Consumer Products Expo、以下、消費博覧会と略)では、日本の出展企業者数が51社で最多でした。資生堂や花王などの化粧品業界、キリンやアサヒなどの食品業界、オムロンやパナソニックなどの電機業界などが参加されています。