(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)
広大な国土がある中国は、生物多様性という点でも重要であり、生息する哺乳類の種類は世界一、植物の種類は世界3位です。自治体によっては生物多様性としての価値を認識し、自治体が行う環境保護だけでなく、環境活動家の活動を推進している地域もあります。中国西南部に位置する雲南省シーサパンナ(西双版納)もそういった地域の一つです。
シーサパンナはラオスとミャンマー両国と国境を接する地域であり、タイ王国のタイ族とルーツを共有する「傣(タイ)族」をはじめ、多くの少数民族が居住している地域です。東南アジア各国を流れるメコン川の源流が流れています。
シーサパンナの面積は中国全体のわずか0.2%ほどですが、野生動物の約25%の種類、植物の20%の種類が生息しています。
今回は、シーサパンナで環境保護活動を行っている李旻果さんに現地でお目にかかり、活動の内容についてお話を聞かせていただきました。
ドイツ人の夫とともに環境保護活動をスタート
――環境保護活動を始めて20年とうかがいました。そのきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
李さん 私たちの環境保護活動「天籽」は2000年から活動を開始しました。そのきっかけは私の夫Josef Margrafです。夫はドイツ出身で、国連と中国の合同科学プロジェクトのために、シーサパンナにやってきました。
ここは中国で唯一の熱帯雨林地域であり、有数の生物多様性を誇っていました。ただ、その一方で経済発展が立ち遅れてもいました。そのため、この地域に産業を根付かせるためと、中国国内で不足していたゴムを生産するために、以前熱帯雨林の大規模な伐採が進んだのです。夫は自然資源の回復と生物資源の研究のためにドイツからここに派遣されました。そして、ここで記者をしていた私と知り合い、結婚したのです。
――それ以前に李さんは自然保護に関する興味を持っていなかったのですか。
李さん 私はシーサパンナ出身ですが、熱帯雨林の重要性や生物多様性の意味などへの関心はありませんでした。そのためその知識もないままに夫とプロジェクトを推進することになったのです。