民家を本格的にリノベーションした中国雲南省大理市の民宿(筆者撮影)

復調しつつある中国の旺盛な観光需要を支えるのが「民宿」だ。とくに若い女性に人気のある民宿の最新事情を、中国在住の加藤勇樹氏が解説する。(JBpress)

(加藤勇樹:香港企業Find Asia 企業コンサルタント)

 中国では観光旅行人口が戻ってきています。2021年の労働節(メーデー)連休である(5月1日~5日)の中国国内旅行者数は前年同期比2.2倍の2億3000万人で、新型コロナ流行前の同じ時期を3.2%上回る水準でした(「労働節連休の国内旅行者2億3千万人 コロナ流行前の水準上回る」、新華社、http://jp.xinhuanet.com/2021-05/07/c_139929347.htm)。

 このような観光の復調を支えているものの一つが「民宿」です。大都市の若者も多数が参入している民宿ビジネスの現状をお届けします。

急拡大する民宿、支持者は若い女性たち

 中国における「民宿」は、個人や家族が経営する小規模な宿泊施設で、その点では日本の民宿*1に近いものです。「日本語の民宿が輸入されて定着したことば」という説明も見受けられます(「民宿,会讲故事的房子」、浙江在线、http://gotrip.zjol.com.cn/system/2016/07/05/021213808.shtml)。ヨーロッパのB&B(Bed and Breakfast)に近いイメージもあります。

*1 現在、日本の「民宿」は旅館業法に基づいて営業している施設を指す。「民泊」はそれに該当しないものを指すが、需要の高まりや形態の多様化を受けて、民泊新法なども作られている。

 中国で民宿という形態が成立したのは比較的新しく、2017年に法制度ができてからです。それが2年後の2019年には210億元(約3500億円)の市場規模にまで成長しています。最大手の予約サイトにおける民宿の登録数は200万施設を超えています。

予約サイトにおける民宿の登録数(各種資料を基に筆者作成)