新型コロナウイルスの感染拡大が3年目を迎えたことから、コロナ危機後の経済動向に注目が集まり始めている。特に中国経済は、超大国である米国に近づきつつあり、米中経済が逆転するのも時間の問題と言われる。一方で中国は社会の成熟化で成長鈍化が予想されており、今後は高い成長が見込めないとの見方もある。(加谷 珪一:経済評論家)
中国は米国を抜くが、同時に成長も鈍化する
2021年における米国の実質GDP(国内総生産)成長率はプラス5.7%と、37年ぶりの高成長を記録した。コロナからの景気回復期待に加え、大規模な財政出動で需要が大幅に伸びた。もっとも、オミクロン株の影響や急回復後の反動も予想されることから、2022年前半の成長率は落ち込むとの予想が多い。
加えて米国ではインフレが急ピッチで進んでおり、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は金利の引き上げを見込んでいる。物価や金利の上昇が景気を冷やす可能性について留意する必要があるものの、少なくともコロナ危機からの脱却に成功したことはほぼ間違いない。
一方、中国の2021年における実質GDP成長率はプラス8.1%だった。中国は半ば強権的に感染を封じ込める、いわゆるゼロコロナ政策を採用しており、2020年についても各国がマイナス成長に陥る中、プラス成長を維持した。ゼロコロナ政策は、都市封鎖など過激な施策を含んでいるため、経済成長にはマイナスの面も多い。数字を見る限り、今のところコロナ封じ込めのメリットがデメリットを上回っているようだ。