(1)ロシア大使館がSNSアカウントを通じて発信する公式チャンネル
(2)「スプートニク」や「ロシア・ビヨンド」といったロシア国営メディアによる半公式チャンネル
(3)ロシア発の情報を用いて日本語で発信する日本人専門家による間接的発信
その中で日本における特徴は、(3)の専門家の情報発信の中に紛れ込むロシア発偽情報が特に多いことである。例えば、現在の緊迫するロシア・ウクライナ情勢に関しても、ロシア大使館やスプートニクはそれほど活発に偽情報を発信していないのに対し、(3)の専門家の情報発信に見られるロシア発偽情報は過去2カ月で急増している。
そもそも、ロシア語を理解し、ロシア発の情報を日本で伝えられる人は、日本のメディアでは「ロシア専門家」として重宝されがちであるが、問題はその専門家がしばしばロシア政権が拡散する偽情報を検証せずに日本社会に伝えてしまうことにある。しかも、その情報の真偽検証ができる人が日本にはまだ少ないために、ロシア発偽情報がそのまま日本の読者に伝わり、その結果、ロシア政権が望む対日世論操作が実現する余地が生じてしまっているのだ。
以下では、そうした専門家たちが日本で広めている偽情報について、どのような点が誤りであるかを検証してみたい。
ウクライナは本当に「東西分裂」しているのか
日本で拡散している典型的な偽情報に「ウクライナは東西で分裂している」というものがある。
例えば外務省主任分析官であった佐藤優氏は「Business Insider Japan」の記事で、「ウクライナは東部と西部で文化が異なる」として、以下のように述べている。