コロナ感染で婚姻件数は減少している(写真:アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 新型コロナの感染拡大によって、結婚式を挙げられない人が続出した。結婚式ができないことで、婚姻件数も激減している。他方、コロナの発生直後、中国・武漢で自宅待機を余儀なくされた夫が妻に暴力を振るい、離婚したというニュースが世界を駆け巡ったこともあった。私たちの生活や人生は、思わぬパンデミックに翻弄されている。

 もっとも、ニュースで報じられる内容と、実際の数字が一致しているとは限らない。人が編集した情報は2次情報と呼ばれるが、人の解釈が入り込むことで、元データである1次情報とずれることもしばしばだ。「現実は小説より奇なり」と言うように、人間が想像したところで現実を見抜くことはできない。見るべきものは、やはり1次情報である。

 本稿では、1次情報から分かるコロナの影響を見る。まずはいい話から。「コロナ離婚」は世界中で有名になったが、日本の状況は異なる。

 コロナで生活が激変したのは2020年4月からだったため、コロナ前の正常時だった2019年度と比較すると、2020年度の離婚件数は前年度比で92.8%に減少している。2021年度はさらに下がり、19年度比90.0%である。

 なぜ日本では、離婚件数が減少しているのだろうか。

 在宅の時間が増えれば、夫婦でコミュニケーションを取る時間は増える。多くのアンケート結果に出ているように、その中で家事や育児を分担するようになった夫婦も少なくないだろう。日本人は空気を読むし、他の民族ほど自己主張は激しくない。生活を快適にするため、互いに協力する文化があると考えた方がいい。結果、いがみ合うのではなく、協力し合う中でお互いの魅力を再認識する機会にコロナはなったと考えられる。

 芸能人の離婚の理由によくある「すれ違い」などによるコミュニケーション不足は婚姻関係を崩壊させる可能性が高いが、その逆も真なりなのだろう。

 もう一ついい話がある。それは死亡者数の減少である。