(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)
北朝鮮の金正恩総書記は、核実験やICBM(大陸間弾道ミサイル)発射などの再開を匂わせ始めた。韓国国家情報院も1月21日、北朝鮮が米国に圧力をかけるため、ICBM発射実験を含む多様な手段を検討していると発表しており、韓国はもとより、近隣諸国や国際社会の関心が高まっている。
北朝鮮が本当に核実験やミサイル発射による挑発を再開するかどうかはわからない。ただ、私は金正恩氏が核実験やミサイル発射による挑発を再開することを願っている。何をバカなことと思われるだろうが、それには理由がある。
核実験などが再開されるという推測は、朝鮮労働党・第8期6次政治局会議における金正恩の発言によるものだ。北朝鮮の労働新聞に掲載された第8期6次全員会議公報文の中から、重要な関連部分を抜粋、要約する。
「政治局会議は米国による敵対行為を確実に制圧できるような、より強力な物理的手段を遅れることなく強化発展させる必要がある。国防面の政策課題を再指示した上、我々が先決的かつ主動的に採用した米国との信頼構築措置を全面的に再考し、暫定的に中止したすべての活動を再稼働する案件について、迅速に検討するという指示を該当部門に通達した」
このような威嚇発言をあおったのは、韓国の国家情報院である。
韓国の国家情報院は、北朝鮮による対米圧迫手段を大きく5つに分類した。(1)戦術核兵器およびメガトン級の超大型核弾頭実験、(2)ICBM命中率改善、(3)極超音速滑空弾、(4)固体燃料使用ICBM、(5)原子力潜水艦および潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の5種類である。これは、北朝鮮が昨年の第8次党大会で発表した、国防力発展の5つの課題に含まれる兵器だと解釈できる。
国家情報院はまた、北朝鮮が体制の健在さを誇示するために、今年、金日成の110回目の誕生日と金正日の80回目の誕生日を祝う、閲兵式を準備する動きを見せていると言及した。
大学教授の時を含め、北朝鮮で45年暮らしてきた私にとって、北朝鮮は嘘と脅迫、恫喝の国である。
今回の会議公報文だけを見ても、これがどれくらい嘘なのかがよくわかる。