ホワイトハウスで会談したトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相(写真:UPI/アフロ)
ホワイトハウスで会談したトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相(写真:UPI/アフロ)

 2月4日、イスラエルのネタニヤフ首相とホワイトハウスで会談したトランプ大統領は、「アメリカがガザを所有する」「ガザを再建する」と会見で発言して世界を驚かせた。いったい何が本当の狙いなのか。国際政治学者、高橋和夫氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──トランプ大統領が「ガザ地区をアメリカが所有して再建する」と発表しました。この一報を聞いた時にどんなことを感じましたか。

高橋和夫氏(以下、高橋):また唐突な決断だなと思いました。ガザをアメリカが所有するなどという案はかつてありませんでした。

 ただその後、ヨルダンとエジプトにパレスチナ難民を引き受けてほしいとかつてトランプ大統領が口にしていたことを思い出しました。それから、義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏が、昨年2月に「(ガザは)観光の中心地になり得る」などと発言したこともありました。

──練り込んだ末の決断だと思われますか? それとも、ネタニヤフ首相との会話の中で、そういう話になっていったという印象を受けましたか。

高橋:その後に明らかになったことですが、この決断について知っていたのは、トランプ大統領の他に、ネタニヤフ首相、トランプ氏のゴルフ仲間で停戦の立役者だと言われるスティーブン・ウィトコフ米特使、ウォルツ大統領補佐官(安全保障政策担当)の4人だけだったと言われています。その場の話で決めて、メモを作って会見で読んだという印象を受けました。

──トランプ大統領とネタニヤフ首相には、それぞれどんな意図があると想像しますか。

高橋:大統領に就任して最初にホワイトハウスで会談した外国の首脳がネタニヤフ首相でした。ちなみに、次は石破総理です。トランプ大統領はネタニヤフ首相のために、外交的な辞令として最大のものを提供したと言えますが、同時に、ネタニヤフ首相がもともと求めていたものは一つも与えませんでした。