闘病の際には、マーケティングフレームワークやロジックツリーなどのツールを活用した(提供:アフロ)

 仕事や家事や育児に日々追われるワーキングマザーは少なくない。だが、そんな慌ただしい日常が、突然、強制終了させられた人がいる。『経営コンサルタントでワーキングマザーの私がガンにかかったら―仕事と人生にプラスになる闘病記』(東洋経済新報社)を上梓した山添真喜子氏だ。

 がんの告知を受け、様々な不安が襲ってくる中、コンサルタントとして自身を俯瞰し、治療や子育てを乗り切るために心がけたこととは何だったのか。コンサルタントとして現場で頻繁に使用する意思決定や問題解決のフレームワークを、治療や生活へどのように活用したのか──。山添真喜子氏に話を聞いた。(聞き手:山内 仁美、シード・プランニング研究員)

※記事の最後に山添真喜子さんの動画インタビューが掲載されています。是非ご覧下さい。

──ワーキングマザーだった山添さんが白血病を患い、仕事も子育てもギブアップせずに病と闘った経緯や心構えについて本書で書いています。どのように病を知り、どのような経過を経て、現在どのような状態にあるのかを教えて下さい。

山添真喜子氏(以下、山添):2018年の夏に会社の健康診断を受けました。それまでは、2人の娘を育てながら会社に勤務するという普通の生活をしていましたが、受診後、「すぐに病院で精密検査を受けるように」とクリニックから電話がありまして。大学病院で検査を受けた結果、急性リンパ性白血病と宣告されました。

 子供がいたため、1日だけ帰宅を許可されましたが、その翌日から緊急入院することになりました。入院治療の間、抗がん剤のクールごとに数日間の外泊許可がおりたこともあります。入院は9カ月間に及び、退院してからも丸2年在宅で維持療法を受け、2021年10月に復職しました。

───闘病生活に入る前は、どのような仕事や生活をされていたのでしょうか。

山添:経営コンサルタントとして、企業の経営戦略や経営計画立案の時に、サスティナビリティの視点を取り入れるお手伝いをするという仕事が多かったです。

 サスティナビリティの分野は、日本よりも欧州が先に進んでいます。そのため、欧州で評価されている会社のベンチマークスタディや調査も多くありました。

 また、海外から原材料等を輸入している日本企業の場合、労働者の人権を含め、サプライチェーンの中で社会や環境の面で負荷が生じていないかを確認する必要があります。その調査分析を多く手がけていました。

 一方で、小学校1年生と5年生の2人の娘の世話をしながら、毎日仕事と育児と家事に追われるというワーキングマザー生活をしていました。

──病気の存在が明らかになった時は、どう思われたのでしょうか。