幻想的な平壌の街並み(写真:代表撮影/Pyeongyang Press Corps/Lee Jae-Won/アフロ)

(金 興光:NK知識人連帯代表、脱北者)

 2年近くにわたって続く新型コロナに伴う国境封鎖の影響で、北朝鮮住民の生活苦は限界に達している。何よりも食べ物不足が深刻だ。収穫時期を迎えたことで一時期、値下がりした食料品も、瞬く間に高騰し始めた。そもそも食べ物といっても、トウモロコシとジャガイモしかない。

 さらに、北朝鮮は技術革命、思想革命、文化革命における模範的な活動を求める3大革命赤旗争奪運動に参加するよう、住民や学生、青年党員を工場や企業、農場などの生産現場に送り込み、成果を監視している。ただ、賦役的な労働にしても、3大革命赤旗争奪運動に参加するにしても、1日三食どころか二食も食べられないという話ではどうしようもない。涙が出るほど気の毒だ。

 それでは、北朝鮮の大多数の住民は何を食べているのだろうか。

 ご飯は韓民族の伝統的な主食だが、北朝鮮の多くの住民には白いご飯などもってのほか。トウモロコシとジャガイモ、豆などで日々をしのいでいる。

 もちろん、市場には米も肉も油もある。だが、住民の多くは職場や家事に縛りつけられており、仕事以外のお金を稼ぐことができない。飢え死にしないために安い食材を買い、そこに野菜やその他の代用食料を混ぜるしかないのだ。

 これからご紹介する「苦難の行軍」の食べ物10選も、白いご飯を食べることができない住民が米の代用品として頻繁に使うトウモロコシ、ジャガイモ、豆類を、最小限に最大量に膨らました食べ物だ。

1. トウモロコシご飯(カンネンイバプ)

 北朝鮮庶民の主食はトウモロコシご飯である。トウモロコシで作った麦飯のようなものだ。白米にトウモロコシを混ぜればいいのだが、ほとんどの家庭には米がないため、トウモロコシだけでご飯を炊く。

1. トウモロコシご飯(カンネンイバプ)

 写真のトウモロコシご飯は白米が50%以上入っているようだ。日本や韓国でたまに食べる分には健康食としていいだろう。だが、トウモロコシ100%のトウモロコシご飯は固く、消化も良くない。冷えたトウモロコシご飯ともなれば、それこそ食べるのに難儀する。北朝鮮住民は、このようなトウモロコシご飯さえも、子供たちに満足に食べさせることができない。