こうした様子から、「あぁこのままの状態で保存されることになったのだな」と私は思った。多分に希望的観測が込められていたからかもしれない。
しかし、9月の半ば頃に小諸市の担当部署に確認したところ、基本的には取り壊す方針であることがわかった。これから調査をして撤去にどのくらいの費用が必要かを調べてから決定するとのことだった。
非常に残念なことではあるが、昨今の気象状況など鑑みての選択であったのかもしれない。
この写真を見てお気づきのように、小諸大橋から見た大杭橋はかなり低く、川面に近い位置にある。次の写真では、さらに両方の橋の高さが大きく違うことがはっきりする。
確かに、小諸大橋ほどの高さがあれば、川の増水や氾濫にはほとんど影響を受けなさそうだ。日本全国に巨大な橋が作られている理由の一つは、このようなところにあるのかもしれない。
かつて地域を支えた古いインフラは洪水や地震などの自然災害を受けるだけでなく、老朽化などによっても利用できなくなる。それをどうするかはいま日本全国で避けて通れない問題になっている。
「橋」もまた、そうしたインフラの一つだ。古くなった橋を撤去するには費用がかかる。かといってそのままにしておくと再度の流出で下流に被害をもたらす可能性がある。さらに「見苦しくて景観を損なう」という意見が出ることもあり、放置できない場合も多い。
以前、土木関係の専門家が「橋を架けるというのは、建設とメンテナンスと撤去までがワンセットだ」とおっしゃっていた言葉が強く心に残る。大杭橋はその歴史を締めくくろうとしているのだ。
次回は衝撃的な形に破壊された橋を紹介する。
破壊された橋がまつるべの森に飲み込まれていく
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68064
第3回は不自然な傾き方をして残されている奇妙な廃橋。
壊れたのか、壊したのか、傾いた橋桁の謎
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68065