(姫田 小夏:ジャーナリスト)
これからは中国を抜きにして成長戦略は描けない――そう信じて中国進出に巨額を投じた日本企業は数知れない。その熱い視線は小売市場にも注がれてきた。だが、中国の小売市場はEC(eコマース)の台頭で特殊なマーケットに変化した。構造変化も進み、日本企業にとって攻略はますます困難になっている。
中国では11月11日の「独身の日」(以下「ダブルイレブン」)に年間最大のECセールが行われる。今年(2021年)は史上最高となる5403億元(約9兆6500億円)の取引額を記録した。
アリババが運営するオンライン小売りモール「Tモールグローバル(天猫国際)」には日本ブランドも数多く出店しており、セール期間中は日本のウイスキーや化粧品、中古ブランド品などに人気が集まった。
しかし日本の化粧品メーカーの中には、予想したほど売り上げが伸びず、期待外れに終わったというところもあった。その化粧品メーカーに勤務する東島恵さん(仮名)は、ダブルイレブンで自社製品が予想以上に売れなかった理由の1つを、「アリババを取り巻く政治的環境が変化したから」と見ている。