新型コロナウイルスをいち早く抑え込むことに成功したと思いきや、大手不動産開発会社・中国恒大集団の経営危機が波紋を広げる中国。今後、超少子高齢化時代を迎え、その社会の不安定さはより増していくと想像される。
習近平政権のウイグルや香港、台湾を含めた国内外へのプレッシャーは、テクノロジーを融合した脅かしの手段とともに今までにはないほど強く、不気味なステージに突入している。『習近平「文革2.0」の恐怖支配が始まった』(ビジネス社)を上梓した福島香織氏に話を聞いた。(聞き手:長野 光、シード・プランニング研究員)
※記事の最後に福島香織さんの動画インタビューが掲載されていますので、是非ご覧下さい。
──この数年、新疆ウイグル自治区で起きている弾圧が世界的に注目されています。ウイグル強制収容所の状況について教えて下さい。
福島香織氏(以下、福島):拷問や性虐待が行われています。
女性に対する性虐待はウイグルの収容所だけではなく、中国の刑務所でも、チベットの尼僧に対しても多い。法輪功などの宗教団体や人権派の弁護士などに対しても、非常に屈辱的な拷問がなされています。人を辱めることに関しては、右に出る者がないほど伝統がある中国共産党ですから。
私が北京で取材した高智晟(こう・ちせい)さんという人権派の弁護士は、自分が捕まっている時にどんな拷問を受けたか、そのすべてを告発文として発表しました。タバコの火を肛門に当てるといった、人を辱めて痛みと恥辱を与えるような拷問です。その後、彼は行方不明になり、今もどこにいるか分かっていません。
彼の告発の内容は、すべて本当のことだと私は確信しています。漢族の人権派弁護士やチベットの記者、ベルリンやオタワに亡命した人権活動家や公民運動の指導者など男女問わず、このような性的な屈辱や痛み、命の危険を伴う拷問を受けたと言っていました。
ウイグルの人たちもこのような拷問を受けているでしょう。英BBCが実際に拷問を受けた女性を取材しています。それに対して中国当局は、「その女性は俳優だ。全部嘘だ」と主張していますが、私はこのウイグルに関しての BBCの報道を全面的に信じています。