仕込みが終わったキムチ。このまま春まで冷蔵庫で寝かせる

(立花 志音:在韓ライター)

 韓国では冬が来る前に、1年分のキムチを漬けるキムジャンというイベントがある。朝鮮半島の寒くて長い冬に備えて、大量のキムチを漬けるのである。スーパーに行けば、365日、市販のキムチを買って食べることができるが、自家製のキムチを漬ける習慣はまだまだ残っている。

 この国のキムチに対する思い入れは格別だ。最近は辛いものが苦手で、キムチを食べられない若者もいるという話を時々聞く。それでも、韓国人は外国人と話す時に必ず「do you know kimchi?」と尋ねるという笑い話があるほど、キムチをこよなく愛している。

 その愛が強すぎて、2013年にはユネスコ世界無形文化遺産に登録してしまったほどだ。

 我が家のキムジャンは、義母と伯母、筆者の3人で、2日かけるのがここ5年ほどの定番スタイルになっている。それはもう言葉にできないほどの重労働で、終わってから数日間は寝込むほどだ。

 しかし、自慢ではないが韓国に嫁いで16年、義母のキムチよりおいしいキムチは食べたことがない。主人も子供たちも口が肥えていて、市販のキムチはキムチではないと食べないので、背に腹は代えられず、毎年頑張っている。

 我が家のキムジャン工程は義母が全権を握っている。ヤンニョム(薬念)と呼ばれる調味料は筆者には作れない。

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